宮沢賢治による詩集。賢治の生前唯一刊行された詩集で、詩型序文一、詩八章六九編を収録しています。刊行当初は少数の評家・詩人の注目をひいただけだったようですが、賢治の没後、近代詩の記念碑的著作として評価が高まりました。こちらは初版を復刻したものですが、刊行当時のものは自費出版のような形であったこともあり発行部数は少なく、現存するものは数えるほどしかないようです。 クロス装にアザミの模様が美しい一冊。このアザミの図案は染色家・廣川松五郎によるもの。関登久也『宮澤賢治素描』に「表紙は青黒いザラザラした手ざはりの物が欲しい」と賢治が希望していたとあります。その希望通り一般的なクロス装よりもザラザラ（デコボコ？）した目の荒い生地で装幀されています（残念ながら「青黒い」部分は叶えられなかったようです）。